ワクチンとは
ワクチンとは
ワクチンとは、感染症を予防するために、免疫(身体を悪い菌や病原体から守る機能)をつくる物質で、抗体とも呼ばれます。
ワクチンは、病原菌(ウイルス)から人体に害となる毒を取り除いたもの、あるいは弱めたもので、それを体内に入れることで、逆に免疫を作り、感染症に負けない体にする働きがあります。

ワクチンはいつ頃どうやって発明されたの?
1796年5月14日、英国人医師エドワード・ジェンナー(1749〜1823)が天然痘の予防に牛痘(ぎゅうとう)を用いたことがその起源とされています。天然痘は、高熱と全身の皮膚に発疹が現れ、これが化膿すると死に至ることもあり、多くの人が命を落としていました。そして、治っても跡が残ってしまう病気として、当時の人々に恐れられていました。ジェンナー医師は、天然痘よりもずっと軽いけれど、似た症状を現す、主として牛の病気である「牛痘(Variolae Vaccinae=牛の痘瘡(とうそう)、Vaccaはラテン語で牛のことです)」にかかった人は、天然痘にかからないという話を耳にし、牛痘患者の膿みを他の人の体内に注入し、恐ろしい天然痘を予防する方法を発明しました。これは種痘((Vaccination)=牛の痘瘡を体内にうえつけること)と呼ばれ、世界中の人々の生命を救い、人類に多大な恩恵をもたらしました。
日本でも長崎のオランダ人医師の手で種痘は、国中に広まり、江戸お玉ケ池の「種痘所」は現在の東京大学病院の前身です。
このジェンナーの発明から、100年ほど経ち、フランス人科学者 ルイ・パスツールが、当時恐れられていた感染症である狂犬病やニワトリコレラにも同様に病原菌(ウイルス)を加工して、人間の体内に注入することで感染を防ぐ画期的な方法を発明しました。パスツールは、1881年ロンドンの学会で、ジェンナーの偉業を記念して、今後「種痘=Vaccination」という言葉を予防接種一般に拡大したいと提案しました。ここに「Vaccine」の名前が感染症予防薬として定着し、それを体内に注入することを「Vaccination」と呼ぶようになったのです。日本が近代医学の知識を輸入したドイツでは、これを「Vakzin(ヴァクツィン)」と呼んだため、日本でもドイツ流に「ワクチン」と呼ぶようになったのです。
ワクチン接種は、本当に必要なのですか?
ワクチンは安価な値段で購入できます。一方、実際に、はしかやポリオなどの感染症にかかってしまうと、死に至ることもありますし、体に後遺症が残ることもあります。治療のために、多額の医療費がかかりますし、他にも、病院までの交通費や、自分自身が、そして子どもなら親が、仕事を休んで病院に行けば、収入を失うことになります。さらに重要なのは、自分が感染すると、家族を始め、多くの人に感染して、病人を増やしてしまう可能性もあります。このような理由からもワクチンを予防接種して、感染症にかからないようにすることがとても重要であり、必要なことなのです。
ただ多くの発展途上国の場合、国の保健制度がきちんと整っていないため、国民がワクチンがどうして大事なのかを知らなかったり、予防接種がきちんと計画的に行われなかったり、せっかく行われても、ワクチンの接種日がきちんと伝わっていなかったり、予防接種会場が遠くて行けなかったりする場合があるので、まだまだワクチン接種を受けることができない人、あるいは重要性を知らずに、受けなくてもいいだろうと思っている人がたくさんいます。その結果、接種率が上がらず、感染症がなくならないという事態を引き起こしています。
このような現状を打破するため、国連機関や民間の国際支援団体らが協力しあって、ワクチンを贈るだけではなく、それぞれの機関/団体が役割分担をして、「予防のためのワクチンを接種することは、病気にならないためにすごく大切だよ」という、啓発メッセージを伝えるという重要な仕事も行っています。